多くの堀と土塁が織りなす山上のアート〜杉山城(すぎやまじょう・武蔵(埼玉))

2024年11月11日

縄張り図を見ただけで心が踊る!!

みなさん、こんちは!シンです。

2023年7月13日(木)。

今回はですね、、

城郭・戦国史研究家の西股総生(にしまたふさお)さんがおすすめしていた城跡にやってきました。

埼玉県比企郡にある杉山城(すぎやまじょう・武蔵)です。

「続日本100名城」にも指定されています。

杉山城(武蔵・埼玉県)

◉城のジャンル

山城(やまじろ)

◉文化遺産としての見どころ

評価 :1/5。

◉防御施設としての見どころ

評価 :4/5。

◉駐車場所

およそ50台ほどは駐車できるであろう、見学者専用駐車場あり

上のGoogleマップにも表示されてます、🅿️のところに駐車できます🚙

この通り、けっこう広めな駐車場です。

ここから歩いて登っていきます。

駐車場の付近にあった案内板です。

航空写真ですね😄

この写真を見てお気づきでしょうか?

大手口のところから、地形がくっきり階段状に残ってますよね。

「ここに城跡があったぞ〜!!」と言わんばかりの見事な遺構!

これが杉山城の魅力なんですね。

城跡は、玉ノ岡中学校の隣にあるので、学校の校門から入っていくことになります。

駐車場から、中学校の校門への道です。

学校を横目に、坂道を登っていくイメージです。

坂道を登りつめていくと、

「杉山城跡」の表示板が見えてきます。

ところどころに「保存会」の旗がたなびいていますので、まず迷うことはないかと。。

杉山城の説明板です。

これまで築城者が不明でしたが、最近の調査では上杉憲房の築城ではないかと。。

各郭と堀の複雑な組み合わせ。

『戦国期山城の最高傑作』ですって!

こりゃ、見応えありそうですね!

そしてこれが、イラストで描かれた杉山城の縄張り図です。

これを眺めるだけで、山城ファンとしては心が躍るのではないでしょうか。

大手口から馬出し郭、そして外郭へ!

まずはこの説明板のある大手口(出郭)から検分していきます。

この城跡には、ご丁寧にキレイな矢印板が設置されています。

城巡りの初心者でも安心して楽しめるご配慮ですね!

ここが大手口(出郭)の様子。

先ほどのイラスト図でもお分かりのように、ここは少し突き出した形となっていて、

いわゆる”出丸”のようなイメージに近いでしょうか。

出郭という言葉から、そんなことを連想しました。。

では、ここまでの様子を動画でご確認ください。

多少の草に覆われていますが、

この堀と土塁がくっきりと残る見事な地形、素晴らしくないですか?

そしてこの大手口(出郭)から、隣接する馬出し郭外郭へと検分していきます。

”すぐれた城跡”って、このように当時の防御施設の説明が本当に細かいんですよね。。

ありがたい限りです!!

そして、この左側の平になっている場所が馬出し郭ですね。

大手口まで攻め寄せてきた敵兵を、ここにて城兵が迎え撃つ、という図式でしょう。

そして外郭(そとぐるわ)の説明。

屏風折なんて言葉、初めて目にしました!!

確かに、空堀が折れ曲がって続いています。見事だ!!

この美しい堀跡の様子を動画でお楽しみください。

ここも多少の草が生い茂っていますが、

それでも、これほど立派に整地されているのは、保存会の皆様のおかげ。。

感謝します!!🙇

にしても、見惚れるほどの堀跡ですね。屈曲している!!

この城跡もそうですが、

防御施設を詳細に説明してくれている説明板が、山城や丘城にはちらほらとあります。

分かりやすいですよね。。

横矢掛かりなんて、勉強しなきゃ分からなかったものな。。

馬出しの防御施設としての役割も、しっかりと説明されています。

ありがたや!!

馬出し郭から南三の郭へ通ずる虎口(こぐち)ですね。

両側に(当時はもっと深い)堀があるので、敵兵はこの細い出入り口を通らねばならず、

その間に両側の土塁上から城兵に撃ちすくめられるという格好。。

”必殺のキルゾーン”ですね。

南三の郭から、”食い違い虎口”を経て南二の郭へ!

この杉山城の防御施設は堀や土塁だけではありません。

先ほど説明した虎口(こぐち)も、敵兵の侵入を阻む立派な防御施設です。

南三の郭に到達。

杉山城に存在する、ただ一つの食い違い虎口

敵兵の直線的な侵入を防ぐため、わざと道を折れ曲がるように、

しかも坂道になっているので敵兵の進軍速度は遅れ、

城兵からすれば、弓矢の絶好のまとになるわけですね。

それでは、この食い違い虎口から南二の郭に至る様子を動画で。

折れ曲がって登っていかねばならない様子がお分かりでしょうか?

南二の郭から眺めた空堀の美しさ。

惚れ惚れしてしまいます。。

山腹を取り巻く帯郭(おびくるわ)

続いて、南三の郭から今度は井戸跡の方へ行ってみます。

いや、この日もかなり暑かったです。

動画内で聞こえる虫の声などで察していただけるでしょうか。。

ここから西に下っていくと、細長い帯状の郭(帯郭)があるらしいです。

そこを歩いた様子も動画に収めました。ご覧ください。

このように、細長い道を敵兵は進み、

そして少し開けたところで城兵が待ち構えている、といった構図だったのでしょう。

どこから攻めてきても防げるように、山腹にもしっかり防御の工夫が凝らされていたのですね。

これが帯郭です。

井戸郭にも、横矢掛かりの防御の工夫がありました。

そして、ここで注目すべきは、城兵の移動に堀道が使われていたことですね。

堀といえば普通、敵兵の移動を妨げるものですが、

逆に城兵がそれを移動用として使うとは。。

でも確かに、、

敵兵が攻め寄せないうちは、密かに城兵が移動するには”絶好の隠れ場所”かもしれませんね。

ここがそうですね。

城兵の移動用手段でありながら、

場合によっては、

下から登ってくる城兵たちが進んでくる”攻め口”とも言えるのではないでしょうか。。

深い谷を挟み込むように設置された南の郭と東の郭、そして本郭。

いよいよ本郭(ほんくるわ)へ進んでいきます。

本郭(ほんくるわ)は城の中心部、いわゆる本丸と呼ばれるところですね。

南二の郭から、東側にある道を伝っていきます。

左側に見える、少し高くなっているところが本郭(ほんくるわ)です。

本郭(ほんくるわ)がどのような位置にあったのかを、

この説明板が示してくれています。

東の郭、南の郭が協力して、深い谷を挟み込むように、

高台にある本郭(ほんくるわ)を防御しているようです。

さらに分かりやすくするため、次の動画で説明します。

最初に南の郭から、帯状の道を登っていき、

右下に見下ろす深い谷を挟みこむように、

東の郭が奥にあります。

そしてその間の道を左側に登っていくと本郭(ほんくるわ)に到達!!

敵兵としては、深く険しい谷を攻め上るのは困難でしょうし、

両側には東と南の郭がそれぞれ防御陣を敷いています。

ホント、要害堅固な山城ですね。。

そして本郭(ほんくるわ)杉山城跡の石碑と、説明板がありました。

これまた、多くの城跡に共通して言えることですが、、

なぜこのような位置に城が築かれたのか、

付近の川や地形を巧みに利用していることが分かりますし、

さらに付近の城との連携方法なども記されていることが多いです。

すでに訪れた鉢形城との連絡など、

多くの城巡りをしていると、こういった城同士のつながりも学べることになります。

北二の郭・北三の郭へ

さてここからは北側の防御ラインを検分にいきます。

まずは北二の郭から。

本郭(ほんくるわ)の北側にも虎口があります。

先ほどの井戸郭手前の帯郭から敵兵が侵入してきて、ここの虎口に突き当たるようです。

ここが虎口手前の侵入路ですね。

この写真でいうと、左上、

細い道の奥に少し凹んだところがあるのがお分かりでしょうか?

地形上の偶然かもしれませんが、

おそらく尾根を断ち切るための防御施設、堀切ではないかと推測します。

下から眺めた(攻め上る敵兵の目線)北側虎口の様子です。

ここも道が折れ曲がるように、そして傾斜のきつい坂道になっています。

虎口の左側にある土塁上から狙われること、間違いなしですね。。

この道を奥へ、北二の郭北三の郭へ進んでいきます。

道を進んでいく間にも、

このように空堀や土塁が複雑に入り組んでいます。

攻める敵兵からしたら、「もう勘弁してくれ〜!」というところでしょうか😅

他の郭のような掲示板が見当たらなかったのですが、

このあたりがおそらく北二の郭かと。。

正直、それと分かる北三の郭が見つからず、、

もしかしたら先ほど北二の郭と見たところが北三の郭であり、

北二の郭はもっと手前にあったのかもしれません。

この道を奥に進むと、城の搦手口(からめてぐち)(城の裏側)になるようです。

ここもはっきりとした掲示板が見つかりませんでしたが、

このあたりが搦手口(からめてぐち)になるのでしょう。

ちなみにGoogleマップで調べると、

この下に「杉山六万坂の石仏群」というのがあるようで、

ついでに見にいきます。

いったん山を下り、

一般道まで出てきました。

Googleマップが示している方向に歩いていきます。

ありました!!

これが「杉山六万坂の石仏群」ですね。

城巡りをしていると、城跡以外にも、周りにこのような遺構が残されていることがあります。

(※いや、こういったものも含めて、”城跡”というべきでしょうか。。)

最後に東二の郭・東三の郭を検分して帰投!

一度、山の下まで降りてきてしまったので、

搦手口(からめてぐち)から再び、山を登っていきます。

なんたって、けっこうな高さの山城ですからね、、

かなり汗をかきました💦

特に山城は、真夏日には訪れるものではないかもしれません。。

また本郭(ほんくるわ)まで戻り、最後に東二の郭を巡ります。

今さら思ったのですが、順番としては、

北側に行く前にまず東側を見に行った方が良かったですね。。

先ほど、南二の郭側から深い谷を見下ろしたように、

東二の郭東三の郭は、

本郭(ほんくるわ)南二の郭の間くらいに位置してます。

東二の郭東三の郭は、それぞれ緩やかな傾斜上に造られていました。

高低差のある、自然の地形をそのまま利用したみたいです。

当時の戦(いくさ)びとの知恵が活かされているようですね。

こちらが東二の郭の様子です。

うっすらとですが、奥に直線的な虎口の跡が見えます。

ここが虎口ですね。

その先に、東三の郭の平地が広がっています。

この東三の郭の様子も動画でご覧ください。

ここはかなり草に覆われていますが、

それでも堀跡などを見ることはできます。

東二の郭まで戻り、そこから本郭(ほんくるわ)を見上げたアングルです。

かなり高低差があることが分かります。

そして再度、南二の郭➡️南三の郭へと、

堀跡を眺めながら帰投します。

にしても、見事な堀跡だ!!

これだけ素晴らしい堀跡が残っているのも珍しいので、

最後にもう一度、馬出し郭から脇下の細道を通って大手口(出郭)に至る様子を動画で。

城マニアからすれば、

どれだけ繰り返し眺めても見飽きません。😎

屏風折になった堀が連なっている、見事な山城です。

最後に、、

一番麓まで降りてきてから、杉山城を見上げてみました。

多くの木々が生い茂っているため、地形はイマイチ判別し難いですが、

十分な高さ、堅固な山城であることはなんとなく伝わってきます。

できれば、これほど草が生い茂ることのない、春先や秋口などに訪れるのが望ましいでしょう。

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